大学の組織HPhttps://molepath.naramed-u.ac.jp/的解析に分子病理学的解析を加味して、胃がんや大腸がんの新規な前がん病変の同定や新規の発がんプロセスを発見した。ここ数年、教室スタッフも充実してきており、研究、学部学生教育、大学院生教育や病理診断に力を発揮している。 私事ながら、2014年から重症筋無力症、2018年から慢性腎不全による維持透析開始、2024年には化膿性脊椎炎などで教室運営に負担をかけたが、谷講師をはじめとする若いスタッフたちの頑張りで乗り切ってきた。教室では、学部学生の研究への参加と取組みが活発であり、いつも数人の学生が研究を行いその成果は学会発表や論文発表につながっている。また、教室には女性のスタッフや学生が多く在籍し、女性がのびのびと働ける環境づくりに努力している。 今後残された2年間で、若い研究者に研究の面白さを伝えることが出来たらと思っている。HPhttps://sites.google.com/view/kurimoto-lab組み(長岡、高島)、分析的なアプローチと構成的なアプローチの両面で生殖発生学を推進しています。さらに生殖細胞のエピゲノム制御にも注目し、ゲノムインプリント形成機構を研究しています(小林:Richard Albert J et al., 2023等)。また、DRaqLなどの実験技術の応用発展として、消化器?総合外科学講座(2019年?)、脳神経内科学講座(2021年?)、産婦人科学講座(2023年?)、精神医学講座(2023年?)との共同研究において、臨床検体の分子解析を行い、難病の病態解明や不妊症の原因解明を目指した研究を進めています。これらのプロジェクトを総合し、ヒトやマウスの生殖細胞発生や疾患の分子機序の解明に向けた研究を推進しています。29分子病理学教室紹介2025 分子病理学教室は、1972年に故伊東信行教授により開講され(当時は腫瘍病理学)、その動物実験を用いた研究手法は、故小西陽一教授に引き継がれた。2001年から現職の國安弘基が教授として、動物実験に分子病理学的手法を融合した研究を行っている。また1981年からは基礎教育に組み込まれ、学部学生教育を行ってきた。 当初はがんの転移を主な研究テーマとしてきたが、ここ10年ではがんと代謝からがん細胞における代謝、さらに、がん細胞におけるエネルギー代謝に研究テーマが絞られてきた。そこから派生して、ミトコンドリア障害、がん性サルコペニアとがん性心筋障害や癌における薬剤耐性などに研究テーマが広がった。興味深いことに、ミトコンドリア障害に対して中鎖脂肪酸が有効性を示すことを見出し、様々なミトコンドリア障害に対する効果を検討している。一方で、病理組織学 発生?再生医学講座は2018年9月に栗本一基の教授着任とともに開設されました。その後、同年10月に講師の小林久人(現准教授)、12月に助教の池田宏輝が着任しました。2020年には助教の長岡創が着任しました。さらに2021年に研究員の高島友弥(現日本学術振興会特別研究員)が着任しました。当講座は、個体を形成する根源的な機能を担う生殖細胞の発生メカニズムの解明を中心的な研究テーマとしており、特にただ一つの受精卵から滞りなく個体を発生させるための品質管理機構に関心を持って研究体制を立ち上げました。そのために必要な技術基盤として(1)卵巣組織の詳細な形態情報を取得してから1細胞レベルで定量的な遺伝子発現情報を網羅的に取得する1細胞空間遺伝子発現解析手法direct RNA recovery and quenching for laser capture microdissection (DRaqL)を開発し(池田:Ikeda et al., 2023等)、(2)多能性幹細胞から生殖細胞を分化誘導して卵巣オルガノイドで成熟卵子にまで発生させる体外培養系の構築に取り2021年還暦の際の集合写真講座所属の研究員(高島友弥)がSociety for Reproduction Fertilityのbest researcherを受賞したときの集合写真(2022年7月)分子病理学教室?教授?國安弘基医学科:基礎医学教育 分子病理学教授/國安 弘基医学科:基礎医学教育 発生?再生医学教授/栗本 一基
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