大学の組織HPhttps://3int.naramed-u.ac.jp/index.html前教授と吉治教授がそれぞれ編集委員長を務め、当教室が中心的役割を果たしました。2023年に主催した第59回日本肝臓学会総会では慢性肝疾患の早期発見を目指した奈良宣言2023を発出しました。この10年間の当科主催の学会?研究会は13におよび継続的に全国に向けて発信を続けています。 消化管?胆膵領域においては、2021年に中央内視鏡部病院教授に就任した美登路昭医師の指導の下、最新の知見や技術を積極的に取り入れつつも、地に足の着いた医療の提供に取組んできました。救急医療においては中南和医療圏における消化器救急疾患の最終ディフェンスラインを担い、2025年現在、当教室の年間緊急入院症例数は院内でも随一の水準であります。また、県内の消化器病診療のレベルアップを図るべく、2015年に立ち上げた奈良消化器代謝セミナーは、2025年9月に第100回を数えます。来たる90周年、そして100周年に向け、より存在感のある教室を目指し、診療?研究?教育の三本柱に取組む所存です。HPhttps://naramed-endocrinology.com/代謝専門医を合わせた内分泌代謝?糖尿病内科専門医が作られ、全国標準としても糖尿病と内分泌代謝疾患を同じ教室で研修できる体制が望まれる状況になりました。当科はまさにそのような体制を構築しています。毎朝の新患カンファランスは教授も含めて全員ですべての新患患者をディスカッションし、若手の診療力を育成しています。毎週の主科カンファランスではさらにプレゼン力や文献的考察も含めて学べる場となっています。研究では公衆衛生学講座との共同研究体制で内分泌代謝疾患を対象にしたレセプトビッグデータ研究を行い、世界に向けて発信しています。2024年には内分泌代謝?糖尿病内科専門医に4名が合格しました。今後もジェネラリストのマインドを持ち広く糖尿病、内分泌疾患を診療できる専門医を育成し奈良県、附属病院に貢献するとともに、世界を目指すPhysician Scientistの育成を目指して参ります。33第59回日本肝臓学会総会(2023年) 開学80周年にあたる2025年は、当教室が吉治仁志教授体制となって10年目の節目でもあります。この10年、新専門医制度や医師働き方改革、未曾有のパンデミックなど医療を取り巻く環境は激変しました。2020年の内科系講座再編に伴い当教室も第三内科から消化器内科学講座(消化器?代謝内科)に名称変更しましたが、故□井正先生による1977年の開講時から掲げてきた「臨床の第三内科」という基本姿勢は現在まで脈々と受け継がれています。毎日の診療から生まれる臨床疑問に向き合い続け、10年間で200編を超える原著論文を積み重ねました。日本肝臓学会理事?西部会支部長、日本内科学会近畿支部代表、日本消化器病学会近畿支部長を歴任する吉治教授の指導のもと発信を続け、2025年には奈良では初めての開催となる第52回日本内科学会「内科学の展望」を主催しました。 肝臓領域では2016年に登場した新規C型肝炎治療薬がブレイクスルーをもたらし、慢性肝疾患の疾患構造を激変させました。大きな変化を迎える中、2015年と2020年の肝硬変診療ガイドライン改訂にあたっては、故福井博 この10年で糖尿病?内分泌内科の診療状況は大きく変化しました。奈良県では以前から社会のニーズに対して専門医の数が非常に少なく十分対応できていないという事情がありました。奈良県立大学附属病院でも複数の内科で糖尿病診療を、内科学第三講座の一部の先生が内分泌疾患を担当するという形で、専門性を持って診療?指導できる体制が十分構築されていない状況が長く続いていました。 そのような状況から2013年に奈良県の寄附講座として糖尿病学講座が設置され、天理よろづ相談所病院から石井均教授が招かれ、糖尿病センターを開設し糖尿病診療体制を築きました。その後、さらに内分泌疾患診療を充実させるために糖尿病?内分泌内科学講座が開設され2020年には初代教授として神戸大学から高橋 裕教授が就任し、糖尿病はもちろん全ての内分泌疾患の診療?指導体制が構築されました。同時に日本専門医機構が認定するサブスペシャリティ領域の専門医としてこれまで別々だった糖尿病専門医と内分泌医学科:臨床医学教育 消化器内科学教授/吉治 仁志医学科:臨床医学教育 糖尿病?内分泌内科学教授/高橋 裕
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