奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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 ラジオアイソトープ(RI)は、生命科学研究において、核酸、アミノ酸、タンパク質などの生体分子を標識する目的で利用され、幅広い分野の研究に貢献してきた。蛍光や発光の技術向上に伴い、RIの利用数は減少してきたが、それでも感度の高さや原子レベルで標識できる有用性を活かし、その利用価値は今でも高い。また、近年では医療におけるPET(Positron Emission Tomography)による診断の前臨床的研究において、RI施設が利用されることがトレンドとなっている。本施設は、RI研究を含めた様々な研究に対応できるよう、先端的研究設備の整備に努め、本学の高い研究力の維持に貢献している。 RIを研究に使用するには、厳格さで定評のある放射性同位元素等の規制に関する法律(RI規制法)を遵守する必要がある。そのため、本施設は放射線障害予防規程を作成し、法令に基づいた管理を確実に行っている。申博_申博手机版-平台官网4年度より、放射線診断?IVR学の田中利洋 奈良県立医科大学が公立大学法人化されてから20年近くが経過し、本学の産学官連携活動も新たな段階へと進展しています。産学官連携推進センターは、研究成果の社会還元を推進する組織として2011年に設立されて以来、様々な支援?連携活動を展開してきました。また、本学では2016年にMBT研究所、2020年に研究力向上支援センターを設立し、本センターと密接に連携しながら、産学官連携活動の推進に取り組んでいます。 特に、本センターは共同研究の促進、競争的資金獲得支援、特許出願支援、研究契約支援を柱とし、研究成果を実社会へ展開するための仕組み作りに力を入れてきました。この努力の結果、本学における特許出願件数は安定的に推移し、特許の実施許諾?譲渡件数も着実に増加しています。 さらに、この10年間で本学と産業界との連携は一層活発になりました。これは、産学連携コーディネーターの積極的な支援と調整に教授(施設長)をトップにする体制になり、放射線取扱主任者として菓子野元郎准教授が放射線取扱主任者として現場管理に対応し、研究推進課などの事務部とともに組織的な安全管理体制を構築している。現在、RI登録者(放射線業務従事者)は毎年300名ほどを確保しており、幅広い実験者が当施設を利用し、安全管理のもと研究活動に励んでいる。 今後も本学の共同施設として、様々な研究のサポートを行い、本学の研究力向上に結び付けたい。よるところも大きく、研究者と企業の橋渡し役として、多くの共同研究や技術開発プロジェクトの促進に貢献しています。 また、研究成果の発信にも注力し、定期的な「研究シーズ集」の発刊、展示会?発表会等への参加を通じ、地域や国内外の関係者との情報共有を積極的に進めてきました。加えて、大学発ベンチャーの支援体制の強化にも取り組んでおり、スタートアップ支援プログラムの構築や起業家教育の機会提供を行っています。 今後は、研究のさらなる国際展開、社会実装を推進するとともに、エビデンスに基づいた政策立案や地域医療改革への貢献を目指します。研究倫理の徹底を基盤としながら、基礎?臨床研究の融合、デジタル技術を活用した医療イノベーションの促進、そして産学官連携のさらなる深化を目指し、本学の使命達成に貢献してまいります。52大学の組織先端医学研究支援機構 医学研究支援センターラジオアイソトープ実験施設施設長/田中 利洋先端医学研究支援機構 産学官連携推進センターセンター長/吉栖 正典

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