附属病院の組織HPhttps://lab-h.naramed-u.ac.jp/【病原体検査に用いる質量分析装置の導入】 感染症患者の予後を改善するためには、適切な抗菌剤を一刻も早く患者に投与することが重要です。このためには感染症の原因微生物を迅速に同定することが必要です。質量分析法はごく微量な物質の構造解析や定量に用いられますが、この技術を応用した微生物分類同定装置は、それまで起因菌同定に16?24時間要していたのを最短10分間に短縮できます。平成27年10月に感染症センター(現感染症内科)と微生物感染症学講座のご支援を受け、この質量分析装置の設置を要望し、平成29年3月に導入、同年5月から稼働し、感染症診療に大きく寄与しています。【検査件数の実績】 申博_申博手机版-平台官网5年度の検体検査(輸血?病理を除く)の総件数は5,938,976件で、平成26年度と比較して3.9%増加しています。また、申博_申博手机版-平台官网5年度の生理検査の総件数は57,188件で、平成26年度と比較して12.9%増加しています。この件数の増加に対応するだけでなく、検査の質を保ち、ベッドサイドのニーズに適切に対応することに日々努めています。HPhttps://trans.naramed-u.ac.jp/もう1つの大きな変革は、2009年4月からアルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血友病製剤など全ての血漿分画製剤を輸血部で管理するようになったことです。 この10年の歩みとして、2014年から第二代専任教授として松本雅則が就任しました。細胞調整センターを整備し、増え続けている細胞製剤の管理保管、遺伝子治療などにも対応しております。このような製剤の開発が増えていることより、治験への対応件数も増えています。研究において、血栓性血小板減少性紫斑病の病態解析に取り組み、世界をリードする業績を上げています。2022年から松本が血液内科教授と兼任となり、臨床との関連がますます密になっています。 このように名前は輸血部のままですが、狭義の輸血以外にも細胞治療などのさまざまな方面へ活動の場が広がっています。 写真は2014年に藤村先生が主催された日本輸血?細胞治療学会総会の時にとった集合写真です。57検体検査室の遠景です 中央臨床検査部の過去10年間の歩みについて臨床現場への貢献につながる内容を中心に記載します。【ISO15189認定の取得】 臨床検査室は精確な結果を提供する能力が問われるほか、検査室外のいかなる人も検査結果を変更することができない業務の独立性が求められます。それを担保する仕組みとして「臨床検査室認定」があります。これは臨床検査を実施する臨床検査室の技術能力を証明する手段の一つであり、ISO 15189(臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項)はその代表的な国際規格です。中央臨床検査部は輸血部?病院病理部?総合画像診断センター超音波部門?病理診断科と共に、この規格の取得を目指して平成27年1月にキックオフを行い、平成29年3月16日に初回認定を取得しました。この規格は当院が臨床研究中核病院や、がんゲノム医療中核拠点病院に指定されるための要件であり、また、国際標準検査加算を算定することが可能となり、病院の機能や経営に貢献しています。 輸血部の歴史は、昭和41年4月に始まり、60年近くの長い歴史があることになります。この前年の昭和40年3月に今では信じられませんが、奈良県血液センターが奈良医大附属病院中に設置されています。この理由ははっきりとはわかりませんが、血液センターの運営に医師が必要であったことが予想されます。輸血部の新設当時は、血液センターと兼務という形で、初代輸血部長に堀浩脳神経外科教授が就任されました。その後、梅垣健三病態検査学教授、福井弘小児科教授、成田亘啓第二内科教授が順に輸血部長を兼任されて、順調に発展してきました。大きな転機は平成8年(1996年)10月に藤村吉博教授が助教授から専任教授に就任されたことです。この当時、国公立大学で輸血部教授職が置かれていたのは東大と京大のみで、奈良医大に輸血部教授が誕生したことは画期的なことでした。 輸血部の発展として、まず造血幹細胞移植への関与があります。また、今ではどの病院でもやっていますが、自己血を各診療科で採取するのではなく、輸血部で中央採取するシステムを1990年代後半に確立しました。中央臨床検査部部長/山﨑 正晴輸血部部長/松本 雅則
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