奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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附属病院の組織HPhttps://1sur.naramed-u.ac.jp診療にあたっています。現在、年間約130件の全身麻酔下手術のほかに、化学療法等も積極的に実施しています。しかしながら、ニーズの高まる紹介予約や乳癌検査への対応など、解決すべき課題も依然として多く存在します。研究機関であり教育機関でもある大学病院としての使命を踏まえ、今後は診療以外の分野の充実にも徐々に取り組んでいく予定です。特に次世代の人材育成は喫緊の重要課題であり、乳癌学会との連携のもと、積極的な取り組みを進めていく必要性を強く感じています。開学100周年に向けて、附属病院所属専門診療に関わるセンターとして、県民の皆様への責務を果たすとともに、次世代育成にも全力で取り組んでまいります。HPhttps://nara-obgyn.com/ 今回、奈良県立医科大学附属病院に高度生殖医療センターを開設しましたが、これは、奈良県にお住まいの方を中心に不妊で苦しむ生殖世代の方に妊娠、出産、育児を経験していただき豊かな人生を送っていただくことを目的としています。 高度生殖医療センターでは、奈良県内の医療施設としては初めてとなる診療が数多く行われます。①内視鏡手術と体外受精のハイブリッド診療、②精巣内精子採取をはじめとする男性不妊手術は、すでに実施していますが、2025年度には卵巣組織凍結をはじめとする妊孕性温存、2026年度には着床前診断を行うことを予定としています。これらの診療は、奈良県内の既存の不妊治療専門施設?産婦人科診療施設とともに連携しながら行います。また、妊娠年齢の高年齢化に伴い内科合併症を有している患者が増加していますが、大学附属病院の特性を生かし、他の診療科と共同しこれらの患者さんの不妊治療にも従事します。66乳腺グループ(2025年)高度生殖医療センター胚培養室 附属病院乳腺センターは、2018年11月に新たに開設されました。乳癌をはじめとする乳腺疾患の急激な増加とともに、奈良県では診療体制が十分ではなく、地域をはじめ社会的なニーズが高まったことが主たる理由でした。現在、庄 雅之が乳腺センター長を務め、赤堀宇広、横谷倫世の2名が実質的な診療にあたっています。乳がん看護認定看護師、専属医師事務補助や検査体制などの様々な院内のサポートと協力体制を構築していただいています。診療の主たる対象である乳癌は、現在、女性の9人に1人が発症するとされており、全国的にも専門医が不足していますが、奈良県は近隣府県と比較しても非常に少ない状況です。また、乳癌に対する薬物治療や遺伝子診断に基づく個別化医療の進歩は目覚ましく、専門性がより一層高まっています。センター開設以降、約6年が経過しましたが、紹介患者数は増加の一途を□り、逆紹介制度も活用しながら、最善、最良の診療を提供することを目標に、消化器?総合外科学教室と連携を図りつつ 2024年4月に奈良県立医科大学附属病院高度生殖医療センターが開設されました。 現在、本邦の抱える大きな問題として少子化があります。本邦においては、2015年までは、年間の出生数は100万人を維持していましたが、2023年におよそ73万人となり、ここ数年の間に急激に減少しています。奈良県においての年間の出生数は、2013年までは年間1万人を超えていたのですが、2022年には6900人と日本の平均を上回る急激なペースでの減少が認められます。これらのことから産科診療や生殖補助医療に対する社会的な期待は非常に大きくなっています。厚生労働省は、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の数は、5.5組に1組と報告しています。また、体外受精の治療周期数は2022年には54万周期となり、体外受精児数もそれに伴い増加の一途をたどり、2022年には77,206人、実に出生数の10.0%(77,206/770,759)に達しています。乳腺センターセンター長/庄 雅之高度生殖医療センターセンター長/木村 文則

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